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法人契約の生命保険と税務 [仕事]

法人が役員等を被保険者にした生命保険に加入した場合、

契約によっては、

支払った金額がその人の給与として課税されることもあります。

法人税や所得税の基本通達では

どのような場合に課税されるかを定めていますが、

法人契約の役員または使用人(親族を含む)を被保険者とする

生命保険の取扱いについて、表にまとめてみました。


なお表では、役員または使用人(親族を含む)を役員等とし、

所得税は役員等に対する適用についてとします。


① 養老保険の場合
(被保険者の死亡または生存を保険事故とする生命保険)

・・・法人税基本通達 9-3-4, 9-3-6の2、所得税基本通達 36-31, 36-31の4

   保険金受取人   主契約保険料     特約保険料
   死亡保険金    生存保険金    法 人 税    所 得 税    法 人 税   所 得 税
  法       人    資 産 計 上     課税 なし
  役員等の遺族    役 員 等   給    与    給   与   損 金 算 入   課 税 な し
  1/2・資産計上     課税 なし
  1/2・損金算入    但し、役員等 のみを特約
  役員等の遺族    法   人     但し、役員等のみを   保険料の受取 人とする場合
   被保険者とし ている場合   支払った保険 料は給与
    損金算入した  金額は給与

(注)表の左下、役員等の遺族と法人の間に、縦の線が入ります。

※ 表の見方
 保険金受取人が誰かにより、 支払った主契約保険料・特約保険料の処理は、
 法人税では○○○、所得税では△△△と横に見て下さい。
 例えば、
 法人が契約者で役員等を被保険者とする養老保険に加入し、
 死亡保険金及び生存保険金の受取人を法人とした場合、
 法人税では、主契約部分の保険料は資産計上、
 特約保険料は損金算入となる(但し、役員等のみを特約保険料の
 受取人にした場合は、給与)。
 所得税では、主契約保険料・特約保険料とも課税はされないが、
 役員等のみを特約保険料の受取人にした場合は、給与となります。


② 定期保険の場合
(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険)
・・・法人税基本通達 9-3-5, 9-3-6の2、所得税基本通達 36-31の2, 36-31の4

    死亡保険金の受取人    主契約保険料    特約保険料
   法 人 税    所 得 税    法 人 税   所 得 税
    
    法    人    
         損 金 算 入    課 税 な し   損 金 算 入   課 税 な し
     役 員 等 の 遺 族    損 金 算 入    課 税 な し
   但し、役員等のみを    但し、役員等 のみを特約
   被保険者とし ている場合   保険料の受取 人とする場合
   損金算入した  金額は給与   支払った保険 料は給与


③ 定期付養老保険の場合 (養老保険に定期保険を付したもの)
・・・法人税基本通達 9-3-6, 9-3-6の2、所得税基本通達 36-31の3, 36-31の4

 (イ)生命保険証券等で養老保険と定期保険の保険料が区分されている場合。

   養老保険に係る保険料は、上記①により、

   定期保険に係る保険料は、上記②による。

 (ロ)生命保険証券等で養老保険と定期保険の保険料が区分されていない場合。

   支払った保険料は全額、上記①による。




養老保険は、満期保険金または解約返戻金があるため貯蓄性が高く、

定期保険は、一般に、掛け捨てで貯蓄性がないことが

上記の取扱いの違いとなっているようです。

そのため、解約や契約の変更などの場合

貯蓄性があるかがポイントとなり処理も違ってきます。


なお、長期平準定期保険等につきましては、

上記と取扱いが異なりますので注意して下さい。



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