株式売却損の税金 [仕事]
株価大暴落、その後も乱高下する状況が続いています。
「日経平均が26年ぶりに一時7,000円を割り込む」
などと連日のように報道されています。
株を売却して損失が発生した場合、
確定申告すれば損失を取り戻せるのでしょうか。
ここでは、個人が上場株式等を証券会社で売買した
場合を前提に解説します。
株の売買により年間を通じて損失が生じた場合には、
確定申告することで
その損失を翌年以後3年間にわたり
株式等の譲渡所得等から控除することができます。
「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」
という制度で、
この適用を受けるには、
損失がでた年度から連続して確定申告書を
提出することが要件となります。
ただ、取引がない年度も確定申告する必要があり
申告しない場合は、たとえ繰越額が残っていても
損失を繰り越して控除できなくなります。
株の売買で損失が発生 | ||||
年 間 損 益 | 控 除 額 | 繰 越 額 | ||
1年目 | △ 100万円 | 0 | △100万円 ( A ) | 損 失 が 生 じ た 年 |
2年目 | 30万円 | △ 30万円 | 70万円 | ( A ) - 2年目の年間損益 |
3年目 | 50万円 | △ 50万円 | 20万円 | ( A ) - 2・3年目の年間損益 |
2・3年目は利益がでても1年目の損失の方が多ければ税金は発生しない。 | ||||
4年目は年間損益により | ||||
4年目 | 40万円の場合 | △ 20万円 | 0 | 差引 20万円は課税対象 |
〃 | 10万円の場合 | △ 10万円 | 0 | ( A ) の繰越は3年間のため |
1年目の損失は翌年から3年間にわたり繰り越して控除できます。
しかし、上記の例のように4年目で控除しきれない場合は、
そこで打ち切りとなります。
2年目(以後)にも損失が発生した場合には、
損失の古い年度から先に控除していきます。
このように、株を売却して損失が発生した場合でも
確定申告により損失を繰り越すことができますので
利用されてみてはいかがでしょうか。
※ なお、株式等の譲渡所得は、
申告分離課税となるため、損失が生じても
他の株式等の黒字の額とは通算できますが、
総合課税となる給与所得など他の所得から
差し引くことはできません。
また、平成21年1月1日以後は、
上場株式等の譲渡損失と
申告分離課税を選択した上場株式等の配当金
(一定の大口株主等が受けるものを除く)との
損益通算ができるようになるほか
上場株式等の譲渡所得金額によって
申告や税率が異なるなどの改正があります。