裁判員制度、日当・旅費等の確定申告 [仕事]
いよいよ平成21年5月21日より裁判員制度が始まります。
平成20年11月28日、
裁判員候補者約30万人に通知書が発送されました。
確率は全国平均で352人に1人。
裁判員に選ばれると最高1万円の日当や交通費、宿泊費などが
支給されます。
http://www.saibanin.courts.go.jp/ http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c7_1.html
では、
■ 貰った分を申告する必要があるのでしょうか。
■ 必要な場合、どのような申告になるのでしょうか。
国税庁は、
最高裁からあった「課税上の取扱いについて」の照会に、
「裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料に対する
所得税法上の取扱いについて」
という回答をしました。
それによりますと、
1. 支給された旅費等は、その合計額を雑所得とする。
2. 実際に負担した旅費や宿泊費などは、雑所得の計算上、
必要経費とする。
となっています。
旅費等は、
労務の対価(報酬)としての性質はなく(そのため給与所得に該当しない)
実質弁償的なものであり、一時所得にも該当しない。
給与所得及び一時所得にいずれにも該当しないので、
雑所得として取り扱うとされています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/shotoku/081101/another.htm
所得税法上、雑所得とは、
利子所得や給与所得、一時所得など
他のいずれにも該当しない所得をいい、
・ 公的年金等
・ 法人の役員等の勤務先預け金の利子(利子所得とされるものを除く)
・ 印税や原稿料(作家以外の者で、事業として行われてない場合)
などが該当します。
所得金額は、
・ 公的年金等の収入金額 - 公的年金等控除額
・ 総収入金額(公的年金等を除く) - 必要経費
の合計額で計算されます。
そこで、裁判員に選ばれ、日当や交通費などを貰うと、
支給された旅費等の合計額から実際に負担した旅費等を
差し引き、雑所得として申告することになります
(公的年金等の他の雑所得がない場合)。
事業所得や不動産所得、年金受給者などで
確定申告している人は、
通常の申告に雑所得を加えて申告しなければなりません。
ところでサラリーマンなどの給与所得者は、
・ 給与等の合計額が 2,000万円を超える人
・ 給与所得以外の所得(雑所得など)の合計額が 20万円を超える人
などの場合を除き、申告する必要がありません。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1900.htm
そのため、サラリーマンなど給与所得者の大部分は
旅費等を貰っても
確定申告しなくて済むと思われます。
所得が生じた場合、原則的には申告することが必要ですが、
給与所得者で年末調整で納税が終わる人は
上記のような人を除けば
確定申告をしなくて良いとされているためです。
このように、同じように裁判員になっても
個人の所得の種類により申告の有無が生じてきます。
最高1万円の日当でも、 3日かかれば3万円。
申告の有無により所得税・住民税もかなり違ってきます。
裁判所に出頭する義務がありながら、
申告で異なる扱いとされてしまうことに
納得がいかない人も
今後増えてくるのではないでしょうか。
2008-12-04 10:53