「中小企業者」の定義 [仕事]
中小企業には法人税法上
■ 軽減税率の適用
■ 交際費の損金不算入の特例
■ 中小企業者等の少額減価償却資産の特例
など多くの特典が与えられている。
しかし、適用を受けるには、
「資本金1億円以下の法人」
「青色申告書を提出する中小企業者等」
のような要件を満たすことが不可欠となるが、
法律や制度により中小企業者などの定義が異なることもある。
ここでは、「中小企業者」の定義についてみていきたい。
法人税法では租税特別措置法で、
青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等を
「中小企業者等」と規定している。
中小企業者等 | |||||
資本金が1億円以下 | |||||
の法人(大規模法人 | → | 中 | 中 | ||
の子会社を除く) | 小 | 小 | |||
企 | → | 企 | |||
資本又は出資を有しない法人 | 業 | 業 | |||
のうち、常時使用する従業員 | → | 者 | 者 | ||
の数が1,000人以下の法人 | |||||
等 | |||||
農業協同組合等 | → |
通常は、この表の区分により判定される。
ところが、この表によらない場合もあるので注意したい。
例えば、青色申告書を提出する中小企業者等が、
機械等を取得し、特別償却や税額控除を適用する場合には
さらに「特定中小企業者等」という区分が必要となる。
特定中小企業者等 | ||
中 | ||
小 | ||
企 | 中小企業者等のうち | |
業 | → | 資本金3千万円以下 |
者 | の法人又は | |
農業協同組合等 | ||
等 |
どちらに該当するかにより適用が異なり、
中小企業者等の場合には、
取得価額の30%を通常の減価償却費とは別枠で償却できる
「特別償却」の適用が、
特定中小企業者等に該当する場合には、
「特別償却」に加え
取得価額の7%を法人税額から控除できる
「法人税額の特別控除」との選択適用ができる
という違いとなってくる。
中小企業者等 | 特定中小企業者等 | |
特別償却 | 適 用 可 | 適 用 可 |
税額控除 | 適 用 不 可 | 適 用 可 |
次に、事業基盤強化設備を取得した場合には、
適用の要件となる「特定中小企業者」の範囲が
小売業や卸売業などは資本金1億円以下とされるなど、
業種によって異なっている。
中小企業基本法による「中小企業者」の定義も
下記の表のようになる。
■ 中小企業基本法による「中小企業者」の定義
業 種 | 中小企業基本法の定義 | |||
製造業その他 | 資本金が3億円以下並びに常時使用する 従業員の数が300人以下の会社 | |||
卸 売 業 | 資本金が1億円以下並びに常時使用する 従業員の数が100人以下の会社 | |||
小 売 業 | 資本金が5千万円以下並びに常時使用する 従業員の数が50人以下の会社 | |||
サービス業 | 資本金が5千万円以下並びに常時使用する 従業員の数が100人以下の会社 | |||
小規模企業者の場合は |
||||
製造業その他 | 従業員20人以下 | |||
商業・サービス業 | 従業員 5人以下 |
このように法律や制度によって定義や要件も異なるので、
適用前に必ず確認しておきたい。