黒字倒産と資金繰り表、キャッシャフロー計算書 [仕事]
損益計算書上、
「利益」を出している会社が
資金不足となり倒産することがある。
なぜであろうか。
儲かっているはずなのに。
【 黒字倒産とは 】
簡単な例で説明すると
当初1,000万円の現金をもっていた会社が
① 1月に商品を掛けで1,500万円売り、
( 売掛金 1,500 / 売上 1,500 )
② 2月に仕入代金を現金で1,200万円支払ったとする。
( 仕入 1,200 / 現金 1,200 )
3月決算の会社で掛けの入金が 4月の場合、
損益計算書では
売上 ( ①1,500万円 ) - 仕入 ( ②1,200万円 ) となり
300万円の利益となる。
利益が出ているのに会社に現金はなく、
下の表では不足分を借入できたが、
資金繰りがつかず倒産ということもある。
これが黒字倒産といわれ、
売上や仕入は発生という時点で計上される一方
実際の入金とはズレがあることによる。
損益計算書に反映されない「借入金の返済」
が多額の会社もその可能性がある。
貸借対照表 (期 首) | 単位:万円 | ||
現 金 | 1,000 | 資本金 | 1,000 |
↓ | |||
損益計算書 | 単位:万円 | ||
① | 売上 | 1,500 | |
② | 仕入 | 1,200 | |
利益 | 300 | ||
貸借対照表 (期 末) | 単位:万円 | ||
売掛金 | 1,500 | 借入金 | 200 |
資本金 | 1,000 | ||
利 益 | 300 | ||
計 | 1,500 | 計 | 1,500 |
【 資金繰り表とキャッシュフロー計算書 】
それを防ぐには
資金繰り表やキャッシュフロー計算書の作成が
重要となってくる。
貸借対照表や損益計算書が発生主義で
計算されるのに対し、
資金繰り表やキャッシュフロー計算書は
現金の出入り、すなわち回収や支払い時点で
計上される。
資金繰り表は、
どの会社でも作成しているものであるが、
過去の実績をもとに、
現金売上や売掛金の入金予定、
経費や買掛金・借入金の支払いなど
一定期間の資金の流れを予測することで
将来に備えるために作成する重要な表である。
資金不足とならないように
残高がいくらあるかを重視する。
ところが、資金繰り表では
■ なぜ資金が足りないのか
■ どこに問題があるのか
という原因分析ができない。
その分析ツールとして
キャッシュフロー計算書がある。
キャッシュフロー計算書では資金の流れを
1. 本業でどれだけ資金を稼いだかを示す
「営業活動によるキャッシュフロー」
2. 固定資産の取得や売却などを示す
「投資活動によるキャッシュフロー」
3. 増資や借入金など資金の調達と返済を示す
「財務活動によるキャッシュフロー」
に分け、それぞれの区分ごとに分析する。
- キャッシュフロー計算書 - | 単位:万円 | |||
1. | 営業活動によるキャッシュフロー | |||
税引前当期純利益 | 68 | |||
減価償却費 | 5 | |||
売上債権の増加 | -15 | |||
たな卸資産の減少 | 6 | |||
仕入債務の増加 | 8 | |||
・・・ | ||||
計 | 72 | |||
2. | 投資活動によるキャッシュフロー | |||
固定資産の増加 | -38 | |||
有価証券の売却 | 6 | |||
・・・ | ||||
計 | -32 | |||
3. | 財務活動によるキャッシュフロー | |||
借入金の増加 | 30 | |||
配当金支払い | -10 | |||
・・・ | ||||
計 | 20 | |||
( 1+2+3 ) | 当期キャッシュ増加 | 60 | ||
+ | 期首キャッシュ残高 | 81 | ||
= | 期末キャッシュ残高 | 141 |
この計算書により、
資金がどのようにして増えたのか減ったのか、
どこに問題があるのかという分析ができる。
■ 赤字経営なのか
■ 在庫が過大なのか
■ 設備投資は適正か
■ 売掛金の回収が遅れているのか
資金繰りで厳しい状態でも
原因がわかれば
改善策を講じられるのである。
景気が後退している現在
ますます重要性が増している。
一度作成されることをお薦めしたい。