土地等を先行取得した場合の課税の特例 [仕事]
土地需要の喚起・流動化を促進する観点から
平成21年度に創設された優遇税制の一つで、
H21年及びH22年に土地等を取得した場合、
他の土地等を譲渡しても譲渡益を繰り延べるという特例。
【 制度の概要 】
法人または個人事業者(事業所得や不動産所得・山林所得
の業務を行う個人)が対象で、
①H21年1月1日からH22年12月31日までの期間内に、
国内にある土地等(土地や借地権)を取得 ( A )。
※ 相続や配偶者等からの取得、棚卸資産の場合は適用対象外。
②取得した日を含む事業年度の確定申告書の申告期限までに、
この特例の適用を受ける旨の届出書を税務署に提出。
③取得した日の翌事業年度から10年以内に、
所有する他の土地等 ( B ) を譲渡。
※ 個人の場合、
( A ) の取得の時に事業者であること、
( B ) の土地等は事業用の土地等であることが必要。
以上の要件を満たした場合に、
( A ) の土地等 ( 先行取得土地等 ) について
( B ) の土地等の譲渡益の80%相当額の範囲内で圧縮記帳できる。
すなわち ( B ) の土地等の譲渡益について、
( A ) の金額を限度として、80%減額できるというもの。
※ 譲渡した時点で ( A ) の土地等にH21年取得分があれば
80% となるが、なければ 60% となる。
【 具体的な計算例 】
H21年に1億円で土地等 ( A ) を購入。
H25年に他に保有していた土地等 ( B ) を売却し、
譲渡益が6,000万円発生した場合。
B | H25年 他の土地等売却 譲渡益 6,000万円 | → | 6,000万円×0.8 = 4,800万円 | C (Aから減額) | |||
→ | |||||||
6,000万円×0.2 = 1,200万円 | → | 課税対象 | |||||
A | H21年 土地等購入 取得価額 1億円 | → | 減 額 C (4,800万円) | ||||
A - C = 5,200万円 | → | Aの取得価額 5,200万円に |
この例によれば、
H25年に売却した ( B ) 土地の譲渡益 6,000万円は、
H21年に ( A ) 土地を1億円で購入したことにより
譲渡益の80% = C が控除され、
本来ならば6,000万円に対して課税されるところが
1,200万円で良いことになる。
この控除は、10年間で ( A ) 土地の金額 ( 1億円 ) に達するまで、
複数の土地の売却に使える。
一方、( A ) 土地は、
取得価額が4,800万円 ( C ) 減額され5,200万円となる。
売却しなければ課税はなく、
売却する場合には譲渡益は多くなるが
いずれの場合も課税を繰り延べるということになる。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei2009/pdf/01.pdf
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/joto-sanrin/8037.pdf