固定資産税の「価格」大幅アップ ! - 隠れた問題点 - [仕事]
景気の悪化が深刻となっている。
物が売れなくなり安価で必要な物が売れ筋に。
当然、土地の価格も下落している。
ところが、最近、顧問先のAさんに届いた固定資産税の
課税明細書を見てびっくり。
なんと、固定資産税の計算基準となる土地の「価格」が50%もアップ。
税額も、あまり増えないように調整されているが、当然アップ。
収入減から 形を変えた増税 ?
それとも・・・ ?
なぜ このようなことが起こるのであろうか。
固定資産税の計算の基礎となる土地の「価格」は
公示価格を基準として算出されるが
毎年変わるわけではない。
3年ごとに見直し新しい「価格」を決定している。
そのため原則として3年間は「価格」が変わらない。
そして平成21年度は、3年に1度の評価替えの年。
平成20年1月1日の公示価格×7割を基準として調整している。
前回の評価替えは平成18年度で、
平成18年度から平成20年度までの3年間、
平成17年1月1日の公示価格を基準としていた。
そこで、住宅地にあるAさん宅で国税庁が公表する
路線価(基準とする日は1月1日で同じ)と比較してみた。
※公示価格と路線価、固定資産税の価格の関係については
→ http://iida-office.blog.so-net.ne.jp/2007-08-06
路線価 (1㎡当たり) | アップ率 (H17年/H20年) |
|
平成16年1月1日 | 330 千円 | |
平成17年1月1日 | 350 千円 | |
平成18年1月1日 | 360 千円 | |
平成19年1月1日 | 430 千円 | |
平成20年1月1日 | 540 千円 | 54% |
平成17年と平成21年を比較すると、
固定資産税が約50%のアップに対し、路線価は約54%となっている。
平成20年1月はまだ土地の価格が上昇していた頃で、
確かに、数字をみれば間違いはなさそうであった。
問題があるとすれば、一年前の公示価格を基準としていることか。
某都税事務所に確認したら、
東京23区の中心では商業地の場合200%アップの地点もあり
50%ぐらいで・・・と、
こちらがおかしいような言い方をされてしまったが・・・。
ところで、隠れた問題が。
この大幅にアップした
固定資産税の「価格」をもとに計算される税金がある。
不動産を購入したり贈与した時にかかる
不動産取得税と登録免許税である。
この税金は、
不動産の価格(固定資産税の価格)×税率で計算されるので
不動産の価格がアップすれば当然、増額となる。
地価は下落しているが、この「価格」は3年間続く。
不景気なうえ増税となればますます売れなくなるという
悪循環になりかねない。
平成21年度の税制改正で、
土地需要の喚起、流動化を促進するため
住宅・土地税制等についてさまざまな措置が講じられたが、
それを打ち消すことにもなりそうだ。